オフショア開発のパートナーを探しており、ベトナムのITエンジニアの特徴について調べている方もいるでしょう。ベトナムのITエンジニアは優秀なうえに、日本との親和性が高いため、他の国よりもスムーズにプロジェクトを進められます。
この記事では、ベトナムのITエンジニアの特徴やレベル、給料などについて紹介します。
ベトナムのITエンジニアの特徴
ベトナムで働くITエンジニアは、優秀な人材が多くスピーディーにシステムを開発してくれます。日本語を勉強しているITエンジニアも多いため、他の国の人材と比べてコミュニケーションが取りやすいでしょう。
まずは、ベトナムのITエンジニアの特徴について紹介します。
優秀なITエンジニアが多い
政府の国策として理系人材を育てる環境を整えているため、ベトナムには優秀なITエンジニアが多い傾向にあります。
具体的には、下記の教育に力を入れており、OECD(経済協力開発機構)が実施した「PISA調査」の科学的リテラシーでは、70ヶ国中8位です(※2015年)。
- 科学
- 技術
- 工学
- 数学
参考:OECD生徒の学習到達度調査「PISA調査 科学的リテラシー国際比較」
理系人材はロジカルシンキングが得意で、問題点を整理して最適な解決法を見出せるため、優秀なITエンジニアとして活躍できるでしょう。また、中学校からはコーディングやIT科目を導入しており、若い世代からIT分野の基礎知識を習得できる環境が整っています。
政府の国策のもと、ベトナムでは質の高いエンジニアが続々と輩出されており、オフショア開発先として世界中の企業から注目されています。ベトナムと日本のITエンジニアがタッグを組み、それぞれの強みを活かせば、より高品質なシステムを開発できるでしょう。
スピーディーに開発してくれる
ベトナムのITエンジニアは、スピーディーにシステムを開発してくれます。政府の国策により科学や数学の基礎教育が強化されており、IT分野に必要な基礎知識やスキルが身についているため、効率的に開発を進められる能力があります。
また、さまざまな国とオフショア開発を行っており、経験が豊富なこともスピーディーに開発してくれる理由の1つです。ある企業では、日本で1ヶ月経ってもできなかった案件を、1週間程度で終わらせた事例もあります。
効率化を重視している企業にとって、ベトナムのITエンジニアは頼れるパートナーになるでしょう。
日本語を勉強している人が多い
ベトナムのITエンジニアは、日本語を勉強している人が多いため、他の国よりもコミュニケーションが取りやすいでしょう。
ベトナムは日本のIT市場への参入を視野に入れており、日本語教育に力を入れる教育機関が増加しています。日本語を第一外国語として採用する学校も増えており、2018年時点では下記の数が世界で6位です。
- 日本語学習者
- 日本語教育機関
- 日本語教師
参考:2021年度 海外日本語教育機関調査「各国・地域の学習者数・機関数・教師数」
文化の違いにより丁寧にコミュニケーションを取る必要はあるものの、他の国と比べて安心してプロジェクトを進行できます。なお、ベトナムのITエンジニアは英語力も保有しているため、さまざまな国がオフショア開発先としてベトナムを選んでいます。
ベトナムのITエンジニアのレベルは?
ベトナムのITエンジニアのスキルレベルは、下記のとおりです。
レベル | ベトナム | 日本 |
フレッシャー | 12% | 10% |
ジュニア | 29% | 15% |
ミドル | 34% | 30% |
シニア | 18% | 20% |
リーダー以上 | 7% | 25% |
ベトナムのITエンジニアの半数は20代のため、日本と比較するとリーダー以上の層が薄い傾向にあります。ただし、日本とは異なり若いエンジニアが多いため、今後はシニアやリーダー以上のレベルの人材が増えていくでしょう。
また、日本とベトナムが協力すれば、それぞれの強みを活かした効率的な開発体制を構築できます。たとえば、下記のように分業すれば、プロジェクト全体のスピードと品質を向上させることが可能です。
- 日本側……要件定義や設計などの上流工程
- ベトナム側……プログラミングやテストなどの下流工程
続いて、ベトナムのITエンジニアが得意な開発ジャンルやプログラミング言語、オフショア開発の実績について紹介します。
得意な開発ジャンル
ベトナムのITエンジニアは、さまざまな開発ジャンルで強みを発揮しています。特に、モバイルアプリやWebアプリの開発分野で高い評価を得ているほか、eコマースやクラウドサービスの構築においても注目されています。
さらに、AIや機械学習、ブロックチェーンといった最先端技術を活用したプロジェクトに携わるITエンジニアも増加中です。
得意なプログラミング言語
ベトナムのITエンジニアが得意なプログラミング言語は、下記のとおりです。
- Javascript
- Java
- C#
- PHP
- Python など
上記のプログラミング言語は、幅広い開発ニーズに対応できるため、世界的に需要があります。
下記の記事では、ベトナムのITエンジニアが得意とするプログラミング言語の他に、よく使用されるフレームワークについても紹介しています。特定のプログラミング言語やフレームワークでオフショア開発の依頼を検討している場合は、参考にしてみてください。
オフショア開発の実績
ベトナムは、オフショア開発先として最も人気がある国であり、多くのITエンジニアが活躍しています。さまざまな国と協力してきた実績があるため、異文化間でのプロジェクト進行に慣れており、コミュニケーション能力や柔軟性に優れています。
また、大手企業からスタートアップまでと、幅広い規模のプロジェクトに対応してきた実績があり、どのようなニーズにも適応可能です。現に、下記のデータではベトナムが全体の約42%を占めています。
なお、ベトナムのITエンジニアは、オフショア開発で下記のプロジェクトにも携わっています。
プロジェクト | 概要 |
Canva | スキルが不要でも高品質なデザインを制作できるグラフィックツール |
株式会社ウィルゲート | ベトナムのパートナー企業と連携し、ラボ型開発チームを構築(Webマーケティング事業) |
Wise | 銀行を通さずに国際送金が可能なサービス |
ベトナムのITエンジニアの給料はいくら?
ベトナムのITエンジニアの給料は、一般的な職業と比較して高水準にあります。
2023年時点で、ベトナム国内のITエンジニアの平均月給は約1,350ドル(約20万円)です。これは、ベトナムの全国平均月給(約3万8,280円)の約6.6倍に相当します。ITエンジニアの中でも専門分野によって給料が異なり、具体的な金額は下記のとおりです。
専門分野 | 平均給料(月) |
AI | 1,360ドル程度 |
AWS(Amazon Web Services) | 1,611ドル程度 |
クラウド技術者 | 1,680ドル程度 |
参考:TopDev 2024-2025 Vietnam IT Market Report
IT市場の急速な成長により、ベトナムのITエンジニアの給料は上昇傾向です。ベトナムの大手IT企業のFPTは、AIやデータエンジニアに対して年間最大40万ドル(約6,000万円)の年収を支払う可能性があると発表しています。
参考:VnExpress
今後もベトナムのITエンジニアの給料は上がると予想されているほか、円安の影響により日本のエンジニアに依頼した方が安く済むケースもあります。たとえば、短期間で終わるような規模が小さい開発は、日本のエンジニアに依頼した方が安く済むでしょう。
ただし、内容次第ではベトナムのITエンジニアに依頼した方がよいケースもあるため、オフショア開発を検討している場合は、オフショア開発会社に問い合わせてみましょう。
ベトナムのITエンジニアと働く際の注意点
ベトナムのITエンジニアと働く際は言葉や価値観、文化の違いの壁にぶつかることもあります。プロジェクトをスムーズに進められるよう、注意点を把握しておきましょう。
続いて、ベトナムのITエンジニアと働く際の注意点について紹介します。
品質基準を明確にしておく
ベトナムのITエンジニアとプロジェクトを進める際は、品質基準を明確にするとよいでしょう。
ベトナムには優秀なITエンジニアが多く存在するものの、曖昧な指示を出すと双方でズレが生じる可能性があります。たとえば、コードの書き方やテスト手法など、具体的な基準をドキュメントにまとめて共有しなければ双方でズレが生じます。
品質基準を明確にしておけば、プロジェクト全体の成功率が高まるほか、長期的な信頼関係の構築に繋げることが可能です。プロジェクトが始まる前に、ベトナムのITエンジニアと品質基準について、しっかりすり合わせを行いましょう。
丁寧に意思疎通を図る
ベトナムのITエンジニアと働く際は、丁寧に意思疎通を図る必要があります。なぜなら、曖昧な表現や略語を多用すると誤解を招くリスクがあり、期待していた成果物が納品されない可能性があるためです。
たとえば「A-1」を依頼したのに「A-2」が納品されるといった、誤解によるミスです。ミーティングやチャットツールを活用し、質問やフィードバックを積極的に行なって、丁寧に意思疎通を図りましょう。
また。タスクの優先順位や締め切りを具体的に示し、エンジニアが適切に対応しやすい環境を整えましょう。
ベトナムの文化や価値観に対する理解を深めておく
ベトナムのITエンジニアと働く際は、相手側の文化や価値観に対する理解を深めなければなりません。
たとえば、ベトナムでは家族やプライベートを大切にする傾向があります。仕事と私生活のバランスを重視するITエンジニアも多く、過度な残業を求めると信頼関係に支障が出る可能性があります。
また、ベトナムは日本と比較すると、時間に対する意識がそこまで強くありません。日本人は「会議が予定通りに始まる」「期限を守る」といったことが当たり前なものの、海外では時間に対する価値観が異なります。
そのため、日本での常識が世界でも同じように当たり前とされているわけではないことに、留意する必要があります。また、相手を傷つけないよう批判や直接的な指摘は控え、納得しやすい形で意見交換するとよいでしょう。
まとめ
ベトナムには優秀なITエンジニアが多く、スピーディーにシステムを開発してくれます。日本語を勉強しているITエンジニアもおり、さまざまな国と協力してオフショア開発を行っているため、スムーズにプロジェクトを進められるでしょう。
ただし、ベトナムのITエンジニアと働くと言葉や価値観、文化の違いの壁にぶつかるケースがあります。品質管理を明確にし、丁寧に意思疎通を図れば、ベトナムのITエンジニアと働く際の課題を解決できるでしょう。また、ベトナムの文化や価値観に対する理解を深めておくことも、スムーズにプロジェクトを進める1つの方法です。
なお、SKILL BRIDGEでは「信頼できるベトナムのIT企業」を掲載しています。コミュニケーションや契約締結のサポートなども行うため、言葉の壁を感じることなく高品質な開発が可能です。
無料でサービスを利用できるため、コストを抑えて理想のパートナーも見つけられます。SKILL BRIDGE経由でベトナムのIT企業とマッチングし、スムーズに開発プロジェクトを進めましょう。
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