オフショア開発は、IT人材不足を補いながらコストを抑えられる手段として、多くの企業に注目されています。ただし、コミュニケーションが取りにくく品質管理が難しいなどといったデメリットもあります。メリットとデメリットを把握して、自社に導入するか検討してみてください。
この記事では、オフショア開発のメリットとデメリット、失敗させないためのポイントなどについて解説します。
オフショア開発とは？
オフショア開発とは、海外の企業やエンジニアにシステム開発を委託する方法のことです。人材不足の解消や開発コストの削減を目的に、多くの企業が導入しています。
特に、日本ではIT人材不足が深刻化しており、高度なスキルを持つエンジニアの確保が難しい状況です。そのため、開発コストを抑えつつ、必要なスキルを持つ人材を確保する手段として、多くの企業が海外に開発を依頼しています。
たとえば、ベトナムでは優秀なエンジニアが豊富で、低コストで高品質なシステム開発が可能です。AIやクラウド関連など、最先端技術の開発に対応できる企業も増えています。
オフショア開発は企業の成長戦略として有効なものの、発注先の評価や品質管理の工夫が必要です。適切な管理を行えば、ビジネスの競争力を高められるでしょう。
オフショア開発の4つのメリット
オフショア開発を活用すれば、コストを削減できるうえに、優秀な人材を確保できます。ここでは、オフショア開発の4つのメリットを具体的に解説します。
コストを削減できる
オフショア開発先によっては人件費が日本よりも低いため、より低コストでIT人材を雇用できます。たとえば、ベトナムのエンジニアの平均月収は「21万円程度」で、インドのエンジニアの年収中央値は「152万円程度」です。
参考：it viec「VIETNAM IT SALARY & RECRUITMENT MARKET REPORT 2024-2025」
上記において、日本のエンジニアの平均月収や年収と比べて低いことがわかります。オフショア開発でコストを削減し、利益率や価格競争力などの向上に繋げましょう。
人材を確保しやすい
オフショア開発を活用すれば、IT人材を確保しやすいため、自社のリソース不足を解消することが可能です。
日本国内ではIT人材不足が深刻化しており、自社に適した人材をすぐに雇用できない傾向があります。2030年には、16万〜79万人程度不足すると予想されており、今後はさらにIT人材を確保しにくくなるでしょう。
また、オフショア開発先の国々ではIT人材の育成に力を入れているため、優秀な人材を確保できます。優秀なIT人材とプロジェクトを進めれば、納期短縮に繋げることも可能です。
リソース不足を補いつつ、優秀なIT人材とプロジェクトを進めましょう。
対応できる業務が増える
オフショア開発を導入すれば、対応できる業務が増えます。なぜなら、オフショア開発先の優秀なIT人材により、企業がこれまで手がけていなかった分野や技術領域のプロジェクトにも対応できるようになるためです。
特定のプログラミング言語や最新の技術に精通したIT人材を確保できれば、新しいサービスや製品の開発を実現できる可能性もあります。対応できる業務の幅を広げれば、市場のさまざまなニーズに応えられるでしょう。
優秀なIT人材はSEOのプロジェクトを成功へと導きます。SEOについて知りたい方は、下記記事を参考にSEOに関する知識を蓄えましょう。
参考：【2025年最新】SEOとは？SEO対策の基本から具体的な施策手順や注意点を初心者にもわかりやすくプロが解説｜Rank-Quest
自社専用の開発チームが作れる
オフショア開発を活用すれば、自社の開発チームを作れます。
たとえば「ラボ型開発」を採用すれば、特定のプロジェクトや開発ニーズに応じて、自社専用の開発チームを作ることが可能です。ラボ型開発とは、海外の開発チームにソフトウェア開発を一定期間委託する開発形態のことです。
開発方針やプロジェクト内容をよく理解したエンジニアを長期的に雇用でき、仕様変更や修正に柔軟に対応できるため、コミュニケーションコストを減らせます。また、チーム内でスキルやノウハウが蓄積され、開発効率の向上や品質の安定化が期待できます。
自社専用の開発チームを作って、企業の競争力を強化しましょう。
オフショアの開発4つのデメリット
オフショア開発には、コミュニケーションが取りにくかったり、品質管理が難しかったりする可能性があります。デメリットを把握したうえで、オフショア開発を活用するか検討しましょう。
続いて、オフショア開発の4つのデメリットを具体的に解説します。
コミュニケーションが取りにくい
オフショア開発は、言語や文化の違いにより、コミュニケーションが円滑に進まない場合があります。要件の誤解や認識のズレが生じ、プロジェクトの進行に支障をきたすこともあるでしょう。
また、拠点間の時差も大きな課題です。日本と海外拠点の時差が5時間以上ある場合、リアルタイムでの意思疎通が難しくなり、対応が遅れることで開発スケジュールに影響を与える可能性があります。
品質管理が難しい
オフショア開発では、文化の違いにより品質管理が難しいという課題があります。
一般的に日本のソフトウェア開発では品質を重視するものの、早期リリースや市場シェアの獲得を優先する国もあるため、期待したものが納品されないケースもあります。
また、品質管理体制の不備も問題であり、発注や指示出しだけを行い、それ以降は現場に任せ切りにするスタンスでは、成果物の品質が低くなりがちです。
なお、SKILL BRIDGEでは経験豊富な日本人SEが架け橋となり、スムーズな進行をサポートします。技術的なアドバイスや進行管理はもちろん、開発チームとの間に立ってコミュニケーションによるストレスを完全に排除します。
小規模開発ではコストを削減できない
小規模な開発案件では、オフショア開発でコストを削減できないでしょう。なぜなら、開発エンジニアの人件費以外にも追加コストが発生し、プロジェクトが小規模であるほど全体のコストに占める割合が高くなるためです。
たとえば、小規模なWebアプリを日本国内で開発した場合、開発費は100万円程度です。一方、オフショアで委託した場合は人件費に加えて下記のような追加コストが発生し、合計で120〜150万円程度かかるため、日本国内で開発した方がコストを削減できます。
| 追加コスト | 概要 | 費用 |
| ブリッジSEの配置 | 日本と海外の間で使用を調整する担当者 | 1人あたり月30万円程度 |
| 進捗・品質管理コスト | 定期的な確認や修正対応 | 10〜20万円程度 |
| コミュニケーションの手間 | 打ち合わせの回数増加、翻訳作業など | 5〜10万円程度 |
オフショア開発を活用したからとはいえ、プロジェクトの内容次第ではコストを削減できないケースがあることに留意してください。
コスト増加のリスク
オフショア開発はコスト削減が可能なものの、為替の影響を受けた場合はコストが増加するため予算オーバーになるリスクがあるでしょう。海外に委託する場合、支払いは基本的に現地通貨で行われるケースが多く、円安が進むと開発費が増加します。
たとえば、円安により1ドル＝140円になれば、同じ金額を支払うのに27%のコスト増加となります。長期間に渡るプロジェクトでは、当初の見積を大幅に上回るケースも少なくありません。
また、オフショア開発が進む国々ではIT人材の需要が高まっているため、人件費が年々上昇傾向にあります。特に、ベトナムやインドではIT産業の成長が著しく、エンジニアの給与が「年5〜10%」上昇しているケースもあります。
オフショア開発は、以前よりもコストを削減できないケースがあることに留意してください。
オフショア開発を失敗させない4つの方法
オフショア開発を失敗させない方法を抑えておけば、プロジェクトを成功に導けます。ここでは、オフショア開発を失敗させない4つの方法を解説します。
効果的なコミュニケーション方法を採用する
効果的なコミュニケーション方法を採用すれば、言語や文化の違い、地理的な距離による課題を解決できます。これらを解決すれば、プロジェクトがスムーズになり、成果物の品質向上に繋がります。
たとえば、SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールを使用すれば、リアルタイムでの情報共有が可能です。ZoomやGoogle Meetなどのビデオツールを使用すれば、対面に近い形で意思疎通ができます。
また、文化の違いを理解し、相手を尊重することも効果的なコミュニケーションとして欠かせません。コミュニケーションスタイルや価値観の違いを理解し、柔軟な対応をすれば信頼関係を築けるでしょう。
要件定義を明確に設定する
開発チームが顧客のニーズを正確に理解し、適切なシステムを構築するためにも、要件定義を明確に設定する必要があります。要件定義とは、システム開発のプロジェクトにおいて顧客の要望をヒアリングし、システムに求める機能や性能を明確にする作業のことです。
要件定義が不十分な場合、開発途中での要件変更や認識のずれが生じ、納期遅延やコスト増加のリスクが高まります。たとえば、オフショア開発先が納品したものがクライアントの期待と異なり、再度修正や追加開発が必要なケースです。
特に、オフショア開発では言語や文化の違いから誤解が生じやすいため、詳細に要件定義書を作成しなければなりません。要件定義を明確にし、クライアントと開発チーム間での認識のずれを最小限に抑えて、プロジェクトの円滑な進行と高品質な納品物を提供しましょう。
適切な開発会社を選ぶ
プロジェクトの品質や進行に影響が出る可能性があるため、適切な開発会社を選ぶ必要があります。仮に自社に合わない開発会社を選んだ場合、納期遅延や品質低下、コスト超過などのリスクを高めます。
下記のポイントを参考に、自社に適切な開発会社を選びましょう。
| ポイント | 確認事項 |
| 技術力と実績 | 発注先の得意分野や開発実績をチェックし、自社のプロジェクトに適合しているかを確認 |
| コミュニケーション能力 | 日本語対応やブリッジSEの有無など、円滑な意思疎通が可能かどうかを確認 |
| 品質管理体制 | 開発プロセスや品質保証の体制が整っているかを確認 |
なお、SKILL BRIDGEでは「実績が豊富なベトナムの開発会社」を掲載しています。開発種別ごとに検索ができるため、効率的にオフショア開発のパートナーを選定できます。
セキュリティ対策を強化する
情報漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑えるには、セキュリティ対策を強化する必要があります。まず、データの取り扱いや漏洩時の責任範囲を明確にし、双方の認識を一致させるためにも「契約セキュリティ条項」を明記しましょう。
次に、データの暗号化を徹底しましょう。通信時にはSSL/TLSなどのプロトコルを使用し、保存時にデータベースの暗号化を行えば、情報の盗聴や不正アクセスを防止できます。
また、アクセス管理と権限制御を適切に設定することも効果的です。プロジェクトに関与するメンバーには最低限の権限のみを付与し「二要素認証」の導入や、アクセスログの監視を行えば、内部からの情報漏洩リスクを低減できます。
セキュリティ対策を強化し、安全な開発環境を構築しましょう。
オフショア開発はベトナムがおすすめ！
オフショア開発を検討する際、ベトナムは特におすすめの選択肢です。ベトナムは、国策としてIT技術者の育成を積極的に行っており、若くて優秀な人材が豊富です。
また、日本との時差が約2時間と少なく、コミュニケーションが取りやすい環境にあります。親日的な文化背景もあり、日本企業との協力関係を築きやすい点も魅力です。
下記の記事では、ベトナムのエンジニアの特徴について紹介しています。得意な開発ジャンルやプログラミング言語についても紹介しているので、参考にしてみてください。
まとめ
オフショア開発は、IT人材の確保やコスト削減を目指す企業にとって有効な手段です。特に、ベトナムは優秀なエンジニアが多く日本企業との相性も良いため、オフショア開発の最適な選択肢です。ベトナムのオフショア開発を活用し、コストを抑えつつ高品質なシステムを開発しましょう。
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正直、オフショア開発は難しいです。
ただ成功するか失敗するかは一緒にやるパートナー次第です。
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