
近年、急速に変化する市場環境に対応するため、多くの企業が「開発スピードの向上」と「コスト削減」を両立する方法を模索しています。中でも注目を集めているのが、オフショア開発とアジャイル開発の組み合わせです。
この記事では、オフショア開発とアジャイル開発の組み合わせについてや、効果的に導入する方法などを解説します。
オフショア開発とアジャイル開発について

まずは、オフショア開発とアジャイル開発について具体的に解説します。
オフショア開発とは?
オフショア開発とは、海外の開発チームにシステムやソフトウェアの開発を委託する手法のことです。日本国内ではIT人材の不足が本格化しており、2030年には不足数が約79万人に達すると予測されています。
そのため、開発コストの削減や優秀な技術者の確保を目的に、多くの企業が導入しています。特に、ベトナムや中国、インドなどの東南アジアがオフショア開発拠点として注目されています。
なお、オフショア開発はIT業界だけでなく、BPO(ビジネス・プロセス。アウトソーシング)や、カスタマーサポート分野でも広く活用されている手法です。
参考:オフショア開発とは?メリットやデメリット、オフショア開発会社に委託する際の注意点を解説|補助金コネクト
アジャイル開発とは?
アジャイル開発とは、短いサイクルを繰り返しながら開発を進める手法のことです。
従来の「ウォーターフォール型開発」は、全ての仕様を最初に決定し、設計・開発・テストと段階的にプロジェクトを進めます。一方、アジャイル開発は小規模な開発とテストを頻繁に繰り返すため、機能の追加や変更に柔軟に対応できます。
つまり、変化が多いビジネス環境に対応しやすく、柔軟かつ迅速に開発を進められる手法であり、ユーザーの意見や市場の動向に合わせて改善や調整が必要なプロジェクトに適しています。
参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「アジャイル開発の進め方」
アジャイル開発とウォーターフォール型開発との違い

アジャイル開発とウォーターフォール型開発の違いは、下記のとおりです。
- アジャイル開発……柔軟性と迅速性を重視
- ウォーターフォール型開発……計画性と安定性を重視
ウォーターフォール型開発は、下記の順序で進める開発手法です。
- 要件定義
- 設計
- 実装
- テスト
- 運用
計画通りに進めやすいものの、一度決定した仕様を変更しにくい特徴があります。たとえば、大規模で変更が少ない基幹システムの開発には、計画通りに進めやすいウォーターフォール型開発が適しています。
一方、アジャイル開発は変更を前提とし、柔軟に対応できるため、急速に変化する市場に適した開発手法として注目されています。
また、ウォーターフォール型開発は開発期間が長くなりがちです。アジャイル開発は、小さな単位で成果物をリリースできるため開発の進捗が視覚化しやすく、プロジェクトの透明性が向上する利点もあります。
プロジェクトの内容や目的に応じて、アジャイル開発とウォーターフォール型開発を適切に選びましょう。
オフショア開発とアジャイル開発の相性は良いのか?

オフショア開発とアジャイル開発を組み合わせると、両方のメリットを受けられるため、相性が良いといえます。
アジャイル開発は短期間での開発サイクルを特徴とし、市場やユーザーのニーズに合わせて変更を加えやすく、迅速にプロジェクトを進められるメリットがあります。
ただし、その分エンジニアが必要であり、コスト面での課題が生じるでしょう。そのため、コストを抑えつつエンジニアのリソースを確保できるオフショア開発と相性が良いといえます。
つまり、オフショア開発とアジャイル開発を組み合わせれば、コストを削減しつつスピード感や柔軟性のある開発を行うことが可能です。ただし、効果的に開発を行うには、適切な管理体制の構築や円滑なコミュニケーション手法の導入が必要なことに留意してください。
オフショア開発とアジャイル開発を並行して行うメリット

オフショア開発とアジャイル開発を並行して行えば、コストを削減しながらプロジェクトのスピードを向上させられるほか、仕様変更にも柔軟に対応できます。
ここでは、オフショア開発とアジャイル開発を並行して行うメリットについて、具体的に解説します。
開発コストの削減とスピードの向上
オフショア開発を活用すれば、低コストで優秀なエンジニアを確保でき、開発スピードを向上させられます。さらに、アジャイル開発を並行すれば、小さな機能単位でリリースできるため、プロジェクト全体のリスクを分散しながら効率的に進めることが可能です。
コスト削減とスピード向上を目的に、海外の開発チームと協力し「スクラム」を導入するとします。スクラムとは、役割を分担し、コミュニケーションを取りながら開発するアジャイル開発の一種のことです
続いて「スプリント」と呼ばれる短期間の作業サイクルを設定し、開発を段階的に進めます。例えば、最初の1週間でログイン機能を作り、次の1週間で決済機能を作るといった形で、作業を区切って進めます。
開発の進捗を毎週確認しながら、素早く新機能を追加できるようになるため、迅速にシステムをリリースすることが可能です。
24時間体制での開発が可能
オフショアチームと国内チームをうまく活用すれば、時差を活かした24時間体制の開発が実現可能です。国内チームが日中にタスクを整理し、オフショアチームが夜間に開発を進めれば開発サイクルが短縮されるため、迅速にリリースできます。
たとえば、 アメリカのEC企業が昼間に仕様を整理し、東南アジアのチームが夜間に開発を行えば、24時間体制での開発を実現できます。結果として、開発期間が短縮されるため、新機能の市場投入をより迅速に行うことが可能です。
柔軟な仕様変更への対応
アジャイル開発の特長である「変更に強い開発手法」と、オフショア開発の「リソースの柔軟な確保」を組み合わせると、急な仕様変更にもスムーズに対応できます。
たとえば、ECサイトの開発途中でクライアントから「競合サイトが新しい決済方法を導入したため、同じ機能を追加したい」という要望にも柔軟に対応できます。
従来のウォーターフォール型開発では、最初に仕様を決めてから進めるため、開発途中で変更があるとスケジュールが遅れたり、追加のコストがかかったりすることが一般的です。要件定義や設計の段階から見直しが必要になり、開発全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
一方、アジャイル開発を取り入れていれば、スプリントごとに開発を進めているため、次のスプリントから新しい決済機能の開発を組み込むことが可能です。さらに、オフショア開発のメリットを活かし、追加のリソースを確保すれば、短期間で開発が完了します。
オフショア開発でアジャイル開発が向いているプロジェクト
オフショア開発とアジャイル開発の組み合わせに向いているのは、特に要件が明確でなく、柔軟な対応が求められるプロジェクトです。たとえば、ユーザーの要望が頻繁に変化する「アプリケーション開発」や、市場の動向に合わせて機能の追加や修正が必要な「オンラインサービスの開発」などです。
一方、事前に明確な仕様が求められ、途中で仕様変更が難しい銀行や政府の基幹システムは向いていません。小規模なスプリントでリリースするアジャイル開発よりも、ウォーターフォール型の開発が適しているでしょう。
また、アジャイル開発はハードウェアとの適合性を厳密に検証する必要がある「自動車のエンジン制御ユニットのソフトウェア」や「医療機器の制御ソフトウェア」も向いていないでしょう。
オフショア開発でアジャイル開発を導入する際の注意点

オフショア開発とアジャイル開発を組み合わせれば、コストを抑えなつつ柔軟でスピーディーな開発が可能です。ただし、言語や文化の違い、時差の影響など、国内開発とは異なる課題も多く存在します。
適切な対策を講じないと、コミュニケーション不足や仕様のズレが発生し、プロジェクトの遅延や品質低下につながる可能性があることに注意が必要です。
ここでは、オフショア開発でアジャイル開発を導入する際の注意点を紹介します。
コミュニケーションの課題
オフショア開発では、言語や文化の違いが大きな障壁となる場合があります。加えて、アジャイル開発では頻繁なコミュニケーションが必要なため、言語の壁を乗り越える工夫をしなければなりません。
たとえば、日本語の仕様書をそのまま英訳しただけでは細かなニュアンスが伝わらず、意図と異なる機能が実装される問題が発生するケースがあります。
下記の対策を講じて、プロジェクトを成功させましょう。
- ブリッジエンジニアの活用(日本語・英語の両方を理解できるエンジニアを配置)
- 定期的なビデオ会議の実施(ZoomやTeamsなどのツールを活用)
- 仕様や進捗の共有をドキュメント化し、チーム全体で確認できる環境を整備
タイムゾーンの違いによる影響
オフショアチームとの協働では、時差によるタイムゾーンの違いがスケジュール管理に影響を与える場合があります。
たとえば、アメリカの企業がインドのオフショア開発チームと連携した場合、時差が13時間あるためリアルタイムでのミーティングが困難です。
解決策としては下記の対応が効果的なため、参考にしてみてください。
- コアタイムを設定し、必ず双方が参加できる時間を確保
- チケット管理ツール(Jira、Trello)を活用し、リアルタイムで情報を共有
- 日本チームがタスクを整理した後、オフショアチームが開発を進めるリレー形式の開発
品質管理の徹底
異なる開発チーム間での品質のばらつきを防ぐため、オフショア開発では明確な基準を設けて、品質管理を徹底しなければなりません。
たとえば、開発側のコードのチェックやテストが甘く、バグが出るプログラムが納品されたとします。この場合「CI/CD」を導入すれば、品質管理における課題を解決できます。
CI/CDとは、ソフトウェア開発の各工程を自動化し、品質を保ちながら迅速に開発・リリースする手法のことです。全員が同じ基準で開発できるため、品質管理を徹底できます。
他にも下記の取り組みが有効なため、参考にしてみてください。
- コードレビューを定期的に実施し品質をチェック
- 自動テスト(ユニットテスト、統合テスト)の導入で品質を確保
- ベストプラクティスをドキュメント化し、開発標準を明確化
文化の違いによる影響
異なる国の開発者と協力する場合、価値観や働き方の違いがプロジェクトの進行に影響を与える場合があります。
たとえば、日本では「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」の文化が徹底されています。一方、他の国ではホウレンソウを行う文化がないため、問題が発生した際に報告が遅れるケースがあります。
この場合、デイリースクラム(毎日の進捗報告ミーティング)を導入すれば、常に状況を共有する仕組みを整えることが可能です。早期に問題を発見・解決できるため、プロジェクトの遅延や品質低下を防ぎ、スムーズな開発を実現できます。
他にも、下記のような対応を取るとよいでしょう。
- 各国の文化の違いを理解し、柔軟な対応を心掛ける
- アジャイル開発のフレームワーク(Scrum・カンバン)を標準化し、開発プロセスの認識を統一
- チームビルディングのためのイベントやワークショップを開催し、信頼関係を構築
オフショア開発とアジャイル開発を成功させるためのポイント

成功させるポイントを押さえれば、オフショア開発とアジャイル開発の組み合わせによるプロジェクトを効果的に進められます。
続いて、オフショア開発とアジャイル開発を成功させるためのポイントを紹介します。
ブリッジエンジニアを活用してコミュニケーションを強化する
ブリッジエンジニアを活用すれば、コミュニケーションの質を向上させられるため、プロジェクトの成功率を高められます。ブリッジエンジニアとは、日本と海外(開発チーム)の間に立ち、双方の意思を正しく伝える役割を担うエンジニアのことです。
オフショア開発では、言語や文化の違いから障壁が生じやすく、コミュニケーション不足が原因でプロジェクトの遅延や品質低下に繋がるケースがあります。
また、ブリッジエンジニアは言語能力だけでなく、開発に関する知識も必要です。たとえば、日本語が流暢なブリッジエンジニアがいても、技術的な理解が不足していると、仕様が正しく伝わらず、結果として納期が遅れる場合があります。
適切なスキルを持つブリッジエンジニアを活用して、コミュニケーションの課題を克服し、プロジェクトの成功に繋げましょう。
仕様やルールを明確にし、伝達ミスを防ぐ
プロジェクトの仕様やルールを明確にし、全員に正確に伝達すれば、誤解やミスを防げるためスムーズに開発を進められます。
オフショア開発は国や文化の違い、物理的な距離があり、曖昧な指示や情報の伝え漏れが起こりがちです。伝達ミスにより誤解が生まれると、プロジェクトはスムーズに進まないでしょう。
誤解を防ぐには、仕様やルールを明確にし、伝達ミスを防がなければなりません。作業内容を詳しく書いた仕様書の作成や、定期的なミーティングで進捗を確認することで伝達ミスを減らし、プロジェクトの成功に繋げましょう。
スクラムを活用し、進捗を適切に管理する
スクラムを導入すれば、プロジェクトの進捗を適切に管理できるようになるため、柔軟かつ迅速な対応を実現できます。
スクラムとは、短い期間ごとに作業を進め、定期的なミーティングを通じて、チームの協力とプロジェクトの透明性を高める手法のことです。問題が発生してもすぐ気づけるうえに、すばやく対応できるため、大きなトラブルを防げます。
たとえば、毎日短いミーティング(デイリースクラム)を開いたり、一定期間ごとに成果を振り返ったり(スプリントレビュー)すれば、チームの連携が深まりプロジェクトの遅延を防げます。
スクラムでプロジェクトの進捗管理を適切に行い、オフショア開発とアジャイル開発を成功させましょう。
適切なベンダーを選ぶ
オフショア開発とアジャイル開発を成功させるには、適切にベンダーを選ぶ必要があります。
適切にベンダーを選べば、技術力やコミュニケーション能力の高いチームと協力できるため、プロジェクトの品質と効率が向上します。
仮にベンダー選びを間違えてしまうと、品質が低下し、納期の遅延やコストが増加するリスクがあります。下記を考慮して、自社に適切なベンダーを選びましょう。
- 実績
- 技術力
- コミュニケーション能力
なお、SKILL BRIDGEでは、実績が豊富なベトナムのオフショア開発企業を掲載しています。
企業やエンジニアの詳細情報を確認できるため、実績やスキル感が分かったうえでベンダーを選定できます。自社に適切なベンダー選びに悩んでいる場合は、参考にしてみてください。
まとめ

オフショア開発とアジャイル開発を組み合わせれば、コスト削減と開発スピードの向上を同時に実現できるほか、市場の変化に迅速に対応できます。
ただし、言語や文化の違いや品質管理などの課題を適切に対処しないと、プロジェクトの成功は難しくなります。そのため、ブリッジエンジニアの活用や明確な仕様の共有、信頼できるベンダーの選定などを適切に行わなければなりません。
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