「ベトナムのオフショア開発って、超破格の価格でやってくれるらしい…」と興味を持っている方も多いのではないでしょうか。国内のIT人材不足や開発費の高騰が続くなか、「質の高いエンジニアが比較的安価で確保できる」というベトナムは、コストを重視する企業にとって非常に魅力的な選択肢です。
ただし、「本当にそこまで安いのか？」「他の国と比べてどうなの？」など、気になる疑問は尽きません。本記事では、ベトナムオフショア開発の価格を中心に、どれほどコストメリットがあるのかを具体的な数字とあわせて解説します。
ベトナムオフショア開発の価格はどれくらい？
人件費は日本の約半額とも
2024年時点の調査では、ベトナムのプログラマー1人月あたりの単価が25～40万円という報告があります。国内のエンジニアだと1人月50万～70万円以上が一般的なため、おおよそ半額程度に抑えられる計算です。
さらに、シニアエンジニアやプロジェクトマネージャー（PM）といった上位職でも、日本より2～3割低い水準に留まるケースが多く、コストパフォーマンスの高さが際立っています。
| ポジション | ベトナム相場（例） | 日本相場（例） |
|---|---|---|
| プログラマー | 25～40万円/人月 | 50～70万円/人月 |
| シニアエンジニア | 40～60万円/人月 | 70～90万円/人月 |
| ブリッジSE | 50～70万円/人月 | 80～100万円/人月 |
| PM（マネージャー） | 60～80万円/人月 | 100万円以上/人月 |
※上記の金額はあくまでも目安。契約形態やプロジェクト内容によって上下します。
人件費以外に発生する付帯費用
オフショア開発は人件費が中心ですが、付帯コストも見逃せません。
コミュニケーション関連：翻訳やブリッジSE、オンライン会議ツールの有料プランなど
プロジェクト管理費：PMやQAチームの配置に伴うコスト
オフィス・設備費：ラボ型契約でオフィススペースを確保する場合の賃料
渡航費用：必要に応じて日本側スタッフが現地へ打ち合わせに行く費用
これらを含めたトータルコストを見極めるのが重要です。人月単価だけを見て「激安！」と飛びつくと、意外な出費が後から発生して、結果的に予算を大幅に超過する恐れもあります。
どうしてベトナムの価格は安いのか？
人件費の低さ＋若年層の多さ
経済発展が進む一方で、ベトナム国内の物価や平均給与はまだ日本よりはるかに安価。さらに、人口のボリュームゾーンが若年層で、IT教育を受けた新卒エンジニアが毎年大量に市場に出てくるため、エンジニア需要と供給のバランスが比較的安定しやすい構造となっています。
日本企業向けサービスの充実
日本語ができるブリッジSEを多数育成しているオフショア企業が多く存在し、高い通訳スキル＋IT知識によってスムーズにプロジェクトを進められる体制が整っています。こうした企業努力が重なり、「高品質×低価格」を可能にしているのです。
他国と比べて、ベトナムは本当に安い？
中国やインドとの差
かつて「安い」といえば中国やインドでしたが、近年は経済成長や物価上昇によってエンジニアの給与水準が上がり、安価なイメージは薄れつつあります。都市部の優秀な人材を確保しようとすると、日本と同等かそれ以上になる場合も珍しくありません。
一方、ベトナムはまだ所得水準の上昇が緩やかで、2～3割ほど低いコストでエンジニアを雇用可能な状況が続いています。将来的な賃金上昇リスクはあるにせよ、現時点では他国よりもお得なオフショア先として注目度が高いのは事実です。
フィリピンやミャンマーとの比較
- フィリピン：英語が堪能でBPO（コールセンター）に強いが、ITエンジニアの絶対数はベトナムに劣る。人件費も年々上昇傾向。
- ミャンマー：政治情勢やインフラに不安定要素があり、大規模プロジェクトを安定稼働させるにはハードルが高い。
このように、「安いだけ」でなく「安定稼働×そこそこの品質」を兼ね備えたオフショア先としては、ベトナムが頭一つ抜けているとの評価が多いのが現状です。
安さだけではなく、気をつけるべきポイント
仕様変更リスクによるコスト増
途中で仕様が大幅に変わると、追加の工数が発生し、結果的にコストが膨らむリスクがあります。ウォーターフォール型かアジャイル型か、契約形態を慎重に検討しましょう。
信頼できるパートナー選びが重要
あまりに低い見積もりを提示する企業の中には、経験の浅いエンジニアが多く品質管理が甘いケースも存在します。価格だけで選ばず、企業の実績や評判、日本語・英語でのコミュニケーション力、品質保証体制をしっかり調査することが大切です。
コミュニケーション費用も考慮
ブリッジSEや翻訳スタッフを活用する場合、その人件費や翻訳費用も加算されます。せっかく人月単価が安くても、コミュニケーションロスの手戻りコストが増えると、本末転倒になりかねません。
まとめ｜ベトナムオフショア開発の価格で成功するには
ベトナムのオフショア開発は、日本の約半額程度の単価で優秀なエンジニアを確保できる可能性が高く、コストパフォーマンスを求める企業にとって非常に魅力的です。
ただし、
企業の実績や品質管理体制を確認する
コミュニケーションコストも含めた総合的な見積もりを行う
仕様変更リスクを見越して契約形態を選ぶ
これらのポイントを押さえておかないと、思わぬ追加費用や納期遅延につながるリスクがあります。
今後もベトナムの経済成長で人件費は徐々に上昇していく可能性がありますが、現時点ではまだ十分に安価で高品質なリソースを活用できるのは事実です。
適切なパートナー企業を選び、コミュニケーションとプロジェクト管理を徹底すれば、「安価×高品質」というベトナムオフショア開発の最大の魅力を存分に享受できるでしょう。
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